肩甲骨内側の痛み

症例

Ｎさんという五十代の男性に左肩甲骨内側の痛みをご相談いただきました。肩など動かさなくても痛みを感じるそうですから自発痛になります。
普段は強く凝こっているような痛み、重たいような痛みがあるとのことです。しかし、ひどくなってくると「じくじく」「ズキズキ」と疼うず くように痛み、その不快な痛みのせいで、眠れなくなることもあるそうです。
実はＮさんのような症状でお悩みの方はわりと多いです。当院にもよく肩甲骨の内側にある不快な痛みをご相談いただきます。先月も同じような症状の方に整体させていただきました。
また、Ｎさんは当院にお越しくださる前に、他院でも整体を受けたことがあるそうです。そこでは背中の筋肉のこりが原因だと告げられました。おそらく菱形筋だと思われますが、その筋肉への整体を受けたものの、あまり改善がみられませんでした。
そこで、以前同じような症状でご来院いただいたＯさんの紹介で、当院にお越しくださいました。
＊ 肩甲骨の内側に痛みなどの症状があるとすれば、当然ながらその原因は背中側にあると考えます。しかし、背中側には原因がないという症例がしばしばあります。
では、どこが原因かというと「斜角筋しゃかくきん」という筋肉です。斜角筋は首の前面にある筋肉なのですが、この筋肉に過緊張（重度のこり）があると、背中側（肩甲骨の内側）に痛みを飛ばします。
斜角筋が引き起こす肩甲骨の自発痛は、つらい症状であることも多いうえに、まま頻繁にみられる症例でもあります。にもかかわらず、一般的にあまり周知されていません。
もちろん、背中側に原因がある症例もありますが、斜角筋が原因の症例も珍しくありません。

肩甲骨内側の関連痛とＮさんへの整体内容

首の前面にある斜角筋が原因だというのに、背中側（肩甲骨内側）に痛みがあるというのは、不思議に感じると思います。ですが、原因のある部位とは違う部位に、痛みが発生することはよくあります。
有名なのは冷たいものを食べたさいに起きる頭痛です。喉が急激に冷やされて起きる頭痛で、原因は喉なのですが、痛みが出ているのは喉ではなく頭です。
こういった原因とは違う部位に現れる痛みを「関連痛」といいます。Ｎさんにも斜角筋による関連痛が起きていると思われます。
また、斜角筋に関連痛かどうかは、2つの検査法で知ることがきます。
ひとつは斜角筋に押圧を加える方法です。斜角筋をある角度から指で押さえると、肩甲骨内側の痛みが少し強くなります。
もうひとつは首を曲げる方法です。首をある方向に傾けると、やはり肩甲骨内側の痛みが少し強くなります。
Ｎさんにもその2つのチェック法を試させてもらうと、どちらにおいても肩甲骨内側の痛みが強くなりました。斜角筋が起こしている関連痛（自発痛）と考えて間違いなさそうです。
＊ そこで斜角筋を中心に整体をはじめました。しかし、斜角筋はデリケートな筋肉ですので、無理に強い力を加えると、余計に悪化させてしまう可能性があります。慎重に丁寧に整体させていただきました。
また、斜角筋は胸鎖乳突筋きょうさにゅうとつきんの影響を強く受けますので、その筋肉にもしっかりアプローチしました。 さらに鎖骨や肋骨に整体させていただき、初回の整体は終了となりました。
2回、3回と整体をするたびに、痛みが楽になっていったそうで、合計4回の整体で終了することができました。
どんな症状にもいえることではあるのですが、特に肩甲骨内側の自発痛は、悪化すると改善が難しくなる症状です。無事に改善できて安心しました。

斜角筋が過緊張を起こす原因

斜角筋は日々の生活の中で過緊張を起こします。たとえば、手もとで細かい作業する、パソコンを長時間使用する、スマホを長時間見るなどです。
つまり、肩が凝こりそうなことをすると、斜角筋に過緊張が起こります。
斜角筋が引き起こす肩甲骨内側の自発痛は、つらい症状であることも少なくありません。Ｎさんのように疼く痛みで眠れないという話もよく聞きます。斜角筋に過緊張が起こらないように注意してください。

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